5月26日(土)東京大学駒場キャンパスで複数国籍に関するミニシンポジウムが開かれ、私(ヤマシタ)が参加してきました。テーマは『複数国籍の是非と「国のあり方」-国籍法と実態のギャップから』
(司会は研究者の武田里子氏。パネリストは研究者3名、弁護士1名、「ハーフ」当事者1名、国際結婚当事者1名の計6名。)

私たちのような国際結婚ファミリーと複数国籍は切っても切り離せない問題です。国籍法と日本社会の現状を知れば知るほど、ウチの子これから大丈夫かしら!?と心配になります。

会のみなさんも感じていると思いますが、2年前(2016年)に蓮舫議員の二重国籍が問題視された時から、日本国内では「重国籍って違法なんだよね」という風潮が広がっている気がします。では、複数国籍は本当に違法なのか!?というと実際は「違法ではない」という説明が、パネリストの近藤博徳氏(弁護士)からなされました。

フレンズ会に参加してくれている国際結婚ファミリーの子ども達のほとんどはまだ未成年で、パパとママの両方の国籍を持つ複数国籍保持者だと思います。もちろんそれは合法。そして国籍を選択しなければならないとされている22歳になった後も、実は複数国籍はグレーな状態で容認されています。

なぜグレーな状態かというと、その国籍選択制度には強制力がなく、国籍の選択をしなくても選択催告がなされたことは過去に一度もありません。また、「日本国籍を選択し、外国籍を放棄する旨の宣言」をしたとしても、それによって自動的に外国籍を失うことにはなりません。なぜなら、外国籍の離脱は「努力義務」となっているからです。つまり、日本国籍を選択してもしなくても、(相手国にもよりますが)外国籍の離脱手続きを自分でしない限り複数国籍を保持できるというわけです。

でもそのグレーな状態こそが問題で、我が子のような「ハーフ」と呼ばれる人たちが自身の国籍を堂々と語りにくい状況が生まれています

今日のシンポでは、こんな事例があげられました。
外国籍の親を持つ高校生がコンビニでアルバイトの採用面接へ行った時のこと。外国風の名字から国籍を聞かれたので重国籍であることを話したら、それは違法だとの判断で不採用となった。しかも同じことが3回続けて起きた。

もう1件は、パネリストの佐々木てる氏(研究者)の実体験。
蓮舫議員の重国籍が話題になっていた当時、朝日新聞からの取材に対して自分が重国籍であることを話し記事になった。するとネットで猛烈な批判を受け、それは勤務先の公立大学にまで及んだ。ちょうど雇用試用期間中だったため、重国籍が解消されなければ本採用はしない、と大学から伝えられて試用期間延長となった。慌てて日本国籍を選択する手続きをして採用が決定した。

この2件とも、実際に法律に反していると確認されたからではなく「どうやら違法らしい」「一般的にいけないことだと認識されているようだ」といった相手の誤った判断で起きたことです。これでは「国籍については隠しておいた方がよさそうよ」と我が子に耳打ちしなければならない心境になります。

今回のシンポではもっと広い話もありましたが、私がフレンズのメンバーに伝えたいことは、世界的にボーダーレスになりつつあり、国境を越えて活躍する日本人や国際結婚がこれだけ増えている中で、今の国籍法が現状にそぐわないものになっているという事実です。生まれながらにして複数国籍を取得する子どもに関してだけではなく、もし私が夫の国へ移住をしてその国の国籍選択を迫られた場合には、その国籍選択と同時に日本国籍を喪失してしまう問題もあります(長くなってしまうので詳しくはまたの機会に)。国籍法は私たちの生活に深く関わっています。思わぬところで足をすくわれて慌てないためにも、みなさんと一緒に学んで考えていけるといいなと思っています。

★インターナショナルフレンズは国籍法改正のための請願運動にも協力しています。詳しくは国際結婚を考える会(AMF)のHPをご覧下さい。(←請願署名用紙の印刷もできます)